よもぎ流 CGメイキング

2012年版


2012年版のCGメイキングです。
描き方は2009年版と、あまり変わっていませんが、
今回はイラストレーターは使わず、全部フォトショップで描きました。

今回描くのは、シリーズ「ミュシャ風・黄金聖闘士」
第3弾の蟹座デスマスク。
ニヒルな二枚目にしたいなーとか思いつつ。
最終的には、人物画像・背景画像を組み合わせて完成させます。

使用ソフト:Adobe Photoshop CS3


過去のメイキング
2004年版(オリジナル絵)〜ちょっと古くて恥ずかしい
2009年版(ミロ&カミュ)〜見ようによっては女性向け
 モデルは蟹座のデスマスク

手順1 描線を描く
長年CGを描いてきて最も重要だと思うのは、当然ではありますが、描線を丁寧に、しっかりと描くこと。
今回は、恥を忍んで、ものすごく汚いラフから公開します。
描線と次の陰影付けという、正直、地味で面白みはイマイチな作業こそが、出来上がりの美しさや作業の効率化を左右するようです。

(1)下絵(ラフ)のスキャン取り込み

一番最初のラフは、適当な紙(広告の裏とか)に、シャープペンシルでごしごし描いたもの。
あまり真っ黒になったりすると、ライトテーブルに透かして別の紙に書きうつすこともありますが、ここでは最初に描いたヤツをスキャンしています。
(なので消しゴムのあとが妙にリアル)

フォトショを立ち上げ、読み込み>スキャン
この段階では描線のトレースのためだけなので、グレースケールモードの解像度100dpiで十分なようです。

こうして撮り込んだ画像を見ると、首と胴体の位置関係がおかしいとか、右肩が上がり過ぎているんじゃないかとか、いろいろアラが見えてきます。
さて、どのように修正しますかねー。
スキャンした画像。デッサンがガタガタ。

(2)ラフの修正

最初に取り込んだラフでOKな場合は、この作業は行わいませんが、今回は気にあるところがたくさんあったので、トレースのための「ラフ」をもうひとつPC上で作ることにしました。

新規レイヤーに、ブラシツールでフリーハンドで描きますが、そのためには最初のラフは切り刻んで、拡大縮小、回転などして、ラフを作りやすいようにしています。ちょっと人には見せられない、かなりスプラッタな作業ですねー。

今回は、頭と胴体の位置、手指の向き、肩の位置などなど、だいぶ修正しています。

PC上でラフの描き直し

 (3)描線完成

描線を描くにあたり、このあたりで解像度を印刷に耐えられる300dpiに変えておきます。(この解像度で出来上がりになります。画像モードは、まだグレースケールモードのまま)

新規レイヤーを、(2)のラフレイヤーの上に置いて、黒で輪郭は少し太めに、髪などは細目のペンツールで、もくもくとトレースします。

一通りトレースが済んだら、仕上げに入ります。ペンツールで描いた線は太さの強弱のない(メリハリのない)描線なので、たとえば髪の先などは消しゴムツールで削って尖がらせたりします。
また、線がつながってない部分はブラシツールでつなげて修正します。
表示を拡大して行うこれらの作業は、トレース以上に地味で細かい作業ですが、ここを丁寧にやるかどうかで出来上がりに差が付くように思います。

描線が完成したら、(1)(2)下絵レイヤーは破棄し、代わりに白で塗りつぶしたレイヤーを一番下に置いておくと、このあとの作業がしやすいようです。
 描線をトレースしてすっきり!


手順2 立体感・質感のための下準備
 (1)陰影

陰影レイヤー(乗算)を作り、黒色で、グラデーションやエアブラシを使い、陰影や光沢を付けていきます。
複雑な陰影をつけるときは、陰影レイヤーを複数に分けることもあります。

質感や光源を意識すると、それっぽく見えるようですが…。こういうのって、ともかく数をこなすのが上達の近道かなあと。

なお、作業モードは、まだモノクロ作業なのでグレースケールモード。そのほうがファイルが軽くてマシンの負担が少ないように思うので。
陰影をつけたところ。モノクロ絵ならこれで見れなくもない

(2)光沢 

黄金聖衣は、これがあってより光り輝くようです。
乗算レイヤーを作って、パーツごとにペンツールでパスの塗りつぶしで描いています。
慣れないうちは、これもけっこう大変な作業だったのですが、慣れましたね。さすがに(笑)


墨ベタの横にうっすら見える灰色の線は、これを描くためだけにつくった下絵レイヤー(だったと思う)。
 黄金聖衣はこれがないと


手順3 色塗り
(1)ベースの色塗り 

ここから色塗りですので、モードをRGBカラーに変更します。

以下、各パーツごとにレイヤーを作り、塗って行きます。
まずは肌から。

肌に使えそうな色を「描画色と背景色」に選び、肌レイヤー(乗算・不透明度100%)にフィルター>雲模様1で置いてみます。
これから色を調整していくので、この段階では濃い目でいいように思います。
 色塗りを開始します。まずは肌
 

聖衣のベース着色。
肌と同様に、黄金っぽく見えそうな2色を雲模様で。

*色味を確認するために陰影と光沢のレイヤーを非表示にしています。
 黄金聖衣

陰影レイヤーを表示すると、こんな感じ。
上と同じ色に見えませんなー。
 陰影レイヤーを表示すると色が違って見えます
 

マントとアンダーを塗ります。 
 デッちゃんのアンダーって何色だっけ?
 

髪を塗ります。
銀髪にしたいのだけど、これが一番悩ましい色。


説明は前後しますが、最終的には下のように、レイヤーで色を重ねたり、調整レイヤーで白っぽくしたり、レイヤーマスクで色を抜いたり、陰影レイヤーに塗った部分を指先ツールでこすったりしながら、銀髪を描き上げています。
 アニメ準拠で銀髪にしましょう

こんな色でいいかなあ?
 

必要に応じてパーツのレイヤーにグループ化したレイヤーを作り、より深みのある色味になるように、色を重ねていきます。

乗算モードのレイヤーをグループ化することが多いのですが、時々、(塗りつぶし)調整レイヤーで色味を調整をすることもあります。
 このあたりは感覚で色の重ね塗り

(2)描線の色を変える 

黒の描線だと色が強すぎるので、各パーツに一番フィットするように描線の色を変えます。

描線レイヤーを一番上に置き、ロックをかけた状態で変更したい色を描画色に設定し、ブラシや塗りつぶしツールで塗ります。

塗りと同系色(特に明度)だと、絵にしまりがなくなるので、少し濃い色で塗ってます。 
 描線色をパーツごとに変えます

(3)光のあたる箇所の表現 

各パーツのベースレイヤーにレイヤーマスクをかけ、大き目のエアブラシ等を使って、光があたると思われる部分から、慎重に色を抜いていきます。


昔は光のあたる場所はハイライトを重ね塗りしていたのですが、特にプリントアウトするといかにも「白で塗った」って感じになってしまったので、試行錯誤でこの方法を発見しました。
最近はけっこう大胆にベース色を抜いてしまうこともあります。

 光のあたる場所から色を抜きます

(4)目を塗る 

瞳と唇を塗ります。
この二つは同じレイヤーで塗ることが多いです。

唇は、あまり色を濃くするのは男性キャラには向かない気がするので、肌レイヤーで代用することも可能かと。 
 瞳も灰色系?目の星は次のハイライトで入れます。

(5)人物部分の塗り完了 

瞳や聖衣などにハイライトを入れて、人物部分の塗りが完了しました。

レイヤーは16枚。
あとで修正が効くように、レイヤー統合はしないで、このまま保存しています。

1911pix×2255pix
27.4MB

 キラキラをいれて完成


手順4 背景との合体 
(1)人物画像の合体 

「ミュシャ風」にするため、下の背景画像と合体する準備をします。

上の完成した人物レイヤーを合体し、余計な白い背景部分を削除します。
また、ミュシャ風とするため、茶色で「編集>境界線を描く」で太めの輪郭線を描きます。

このレイヤーを合体したファイルも別名で保存しておくと、元の重いファイルを開かなくても、いろいろ使えます。

1911pix×2255pix
6.51MB
 「境界線を描く」は便利な機能です

(2)合体する画像の準備 

今回、背景に利用しようと思っている画像たち。

花の画像はpixivで素材として使用フリーのもの。使えそうな部分のみを切り張りして使います。

ミュシャ枠は、文字や色が変えられるように、文字レイヤーや色レイヤーは合体していないものを使います。

そして、上の人物レイヤーを合わせて…
     ↓
 pixivには素敵な素材がいっぱい。ありがとうございます。  なので私もこのミュシャ風枠をフリー素材で提供しています。

 完 成

 大きい絵はこちら

2012年現在の、私の「手のウチ」です。
フォトショを利用していないと分かりづらい表現が多かったですが、参考になりそうなところがあればご利用ください。

よく言われるとおり、お絵描きは他人の絵の真似から始まると思います。
その中から自分なりのこだわりや技法が身につくのではないでしょうか。
 完成したぜ! 

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